[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : では、今回の物語について
僭越ながら、恐縮ながら

[メイン2] 神原駿河 : さりとて偽りなく淀みない回顧を担当させてもらおう

[メイン2] 神原駿河 : 私の名前は神原駿河
駿河問いの駿河だ、文字である以上この解説は無意味でもあるが……

[メイン2] 神原駿河 : “語る”以上は
こういった茶目っ気も必要だろう

[メイン2] 神原駿河 : これは、ある『異変』を皮切りに始まった

[メイン2] 神原駿河 : 友人、尊敬すべき先輩、私のご主人様(未許可)の……仮にAとする

[メイン2] 神原駿河 : このA先輩が、何故か唐突にゾンビに襲われたらしいのだ

[メイン2] 神原駿河 : しかし、心配する気持ちはいらない
いや、心配しない方がおかしい大惨事ではあるのだが……ここはアラ……A先輩と称えるべきだろうか!

[メイン2] 神原駿河 : 吸……街の裏バン的な側面を持つ先輩の機転により、そのゾンビは消滅したのだが…

[メイン2] 神原駿河 : ……もっと、おかしな事が始まった

[メイン2] 神原駿河 : このゾンビと呼ばれる者は、このリビングデッドは、操られる死体人形は

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : 悍ましい事に、異常な存在でもなんでもなかったのだ

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : “怪異専門家”曰く

[メイン2] 神原駿河 : 『コレは、名前から成り立つ様な、噂によって囁かれた類の物ではない』

[メイン2] 神原駿河 : 彼らは中々に難解な事を言っていたが
この部分へと焦点を当て、今回は説明を終わらせる

[メイン2] 神原駿河 : 結論から言えば、“この”ゾンビは生物なのだ

[メイン2] 神原駿河 : あくまで、日光に類似するエネルギーに弱いだけで人類はこう進化する可能性があった程度には、元人間なのだという

[メイン2] 神原駿河 : 異常事態だ

[メイン2] 神原駿河 : なにせ、異常が総じて今回の事件からは足を引き生物学的な天敵がなんの前触れもなく現れたのだ

[メイン2] 神原駿河 : …颯爽と阿良々木先輩は事態の解決に動いた
今回の事を起こした大元

[メイン2] 神原駿河 : 『吸血鬼』を退治するのだ

[メイン2] 神原駿河 : …本来なら、私も付いて行きたかった

[メイン2] 神原駿河 : いや、ついて行こうとして荷物を整え、出発しようとしたその時に

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] : チュミミーン

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : 緊急的に幕を降りた筈の怪異が、私の左腕から出現した

[メイン2] 神原駿河 : ……専門家に連絡を取ろうともしたが
既に、彼らは出発していた

[メイン2] 神原駿河 : 故に、この問題は……私が、この手で解決しなければならない

[メイン2] 神原駿河 : 阿良々木先輩の力は借りられない
幾つか伝言をすると、疾く疾く走り出した

[メイン2] 神原駿河 : まるで“手”を引かれるみたいに、何かの確信を持ってこの街に来た

[メイン2] 神原駿河 : ……ここまでが、私が街に来るまでの話だ

[メイン2] 神原駿河 : では、これから、更に語らせてもらおう

[メイン2] 神原駿河 : 私が歩んだ“物語”を

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : バス停から降りて、しばらく走っていた

[メイン2] 神原駿河 : 別段、誰かに追われていたッ!
とかではなく

[メイン2] 神原駿河 : じっとしていもなんとかできる材料は無いし、走る事には慣れていたからだ

[メイン2] 神原駿河 : ……その調子で、しばらく走っていたが

[メイン2] 神原駿河 : 「こんなにも、奇妙な物を目にするとは…」

[メイン2] : そう、視界に飛び込むのは……奇妙な光景。

[メイン2] : 帽子を被ったラベンダー髪の小柄な少女が、壁に密着したまま……にらめっこをしている。

[メイン2] 七七 : 「…………」

[メイン2] 神原駿河 : 可愛らしい服の童女が、壁と睨めっこをしていた

[メイン2] 神原駿河 : 中華風の可憐な衣装、額に貼られた札と、連想する物もある気はするが…

[メイン2] 神原駿河 : 「どうしたんだい?」
まあ、気軽に声をかけよう

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] : 少女は、そのままの体勢で。

[メイン2] 七七 : 「だれ?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、失敬!」

[メイン2] 神原駿河 : 「私の名前は神原駿河、この街には初めて来たのだが……」

[メイン2] 七七 : 「……すがる?」

[メイン2] 神原駿河 : さて、名前を名乗ったところでもう一度

[メイン2] 神原駿河 : 「いや、駿河だ。するが」

[メイン2] 七七 : 「するが」

[メイン2] 神原駿河 : 「そう、ところで……」

[メイン2] 神原駿河 : 「何故、壁に?」

[メイン2] 七七 : 「するが。七七は、前に進めない」

[メイン2] 神原駿河 : 「……壁があるものな」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 取り敢えず、壁から放してあげようと思う
この年頃の女の子特有のおまじないかもしれないが…

[メイン2] 神原駿河 : 七七を抱き上げて壁から離し……

[メイン2] 神原駿河 : 少し深呼吸をして、地面に下ろす

[メイン2] 七七 : 「わ」

[メイン2] 神原駿河 : ……ふむ?

[メイン2] 神原駿河 : なんだろうか、この匂いは
嗅いだ覚えはあるのだが…

[メイン2] 七七 : すてん、と地面に降り立ち……少し前のめりになりながら、倒れないようにこらえる。

[メイン2] 七七 : そのままくるん、と神原の方に向き直り。

[メイン2] 七七 : 「……ありがとう。するが、いい人」

[メイン2] 神原駿河 : 「うむ、可愛い女の子は助けてあげる、阿良々木先輩の教えだ」

[メイン2] 神原駿河 : 無論、本人からは聞いていないが私の心の中の先輩はそう言っている

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 「……うん。七七、行かなきゃ。またね」

[メイン2] 七七 : そのままとてとてと数歩進んだところで。

[メイン2] 七七 : 同じ壁にとすん、とぶつかる。

[メイン2] 神原駿河 : 「………」

[メイン2] 神原駿河 : 萌えるが、萌え狂えるが……
助け船を出した方が良さそうだ

[メイン2] 神原駿河 : 「なあ、七七ちゃん。私は割と暇なんだ」

[メイン2] 神原駿河 : 「これからそんな風に、壁に激突したら大変だろう?」
「私としても君が心配だ」

[メイン2] 神原駿河 : 「だから、私に道案内をしてもらう代わりに、助けさせてもらえないかな?」

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 「するが、七七のこと、助けてくれるの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ」

[メイン2] 神原駿河 : 「君のような娘を放っては置けないし……私も、この街について知っておかないといけないんだ」

[メイン2] 七七 : 壁の方を向いたままこくりと頷き。

[メイン2] 七七 : 「……わかった。ええと……」

[メイン2] 七七 : 足をばたばたと。

[メイン2] 神原駿河 : 可愛い……持って帰りたい……
っと、早く助け船を出さないと

[メイン2] 神原駿河 : 再び抱き上げて、壁から離す

[メイン2] 神原駿河 : 「これで大丈夫、それにしても……なんのおまじないなんだい?」

[メイン2] 神原駿河 : 先程から何度も壁に向かう姿は中々見ていて可愛らしいが、少し不可思議でもある

[メイン2] 七七 : 「……ありがと。するが、いい人。……メモ、持ってる」

[メイン2] 神原駿河 : 小学校で流行っているおまじないだろうか?

[メイン2] 神原駿河 : 「ん、お買い物か!」

[メイン2] 七七 : ポケットのあたりから紙とペンを取り出し、何か書き入れる。

[メイン2] 七七 : 『するが』

[メイン2] 神原駿河 : 「?」

[メイン2] 七七 : 「うん、……するが、これで忘れない。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど、名前を書いてくれたのか」

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] 七七 : 「……七七、すぐ忘れちゃうから。大事なこと、メモ……とってる。」
「……それで、するが……何のご用だっけ。」

[メイン2] : ふと覗き込んだメモの端には、その『するが』の文字の他に。

[メイン2] : 『せんせい』

[メイン2] : 『あかいいし』

[メイン2] 神原駿河 : 「……赤い石?」
思わず、読み上げてしまった

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : くるん。

[メイン2] 七七 : 「するが、知ってるの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「え、あ、いや……知らないな」
メモを盗み見てしまった罪悪感から、ついと口籠る

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「知ってるの?」

[メイン2] 七七 : すい、と顔を近づけて。

[メイン2] 神原駿河 : 「七七ちゃん…?」
「いや、知らない……が」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 元通り離れて。

[メイン2] 七七 : 「……七七、赤い石、探してる。……赤い石、お願い。先生に頼まれた。」

[メイン2] 七七 : 自らに語りかけるように、ゆっくりと復唱する。

[メイン2] 神原駿河 : 「赤い石……とは随分、大きな括りだな…」
「特別な物なのかい?」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 七七 : 「先生、言ってた。七七、元通りになるって。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……元通り?」

[メイン2] 神原駿河 : 「はは、まるで吸血鬼みたいな事を言うのだな、七七ちゃんは」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : じっと目を見つめ。

[メイン2] 七七 : 「それは、生き物?」

[メイン2] 神原駿河 : 「正解」
「いわゆる“リビングデッド”生きる屍だ」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : ゆっくりと考えるように。

[メイン2] 七七 : 「するがは、吸血鬼のおともだち?」

[メイン2] 神原駿河 : 「────」
それは、中々答えるには複雑ではあった
阿良々木先輩は吸血鬼──もっと正確に言えば、もどきとも付くが──
確かに素晴らしい友人だ

[メイン2] 神原駿河 : しかし、友人だけで関係を終わらせるのも……いや、そもそも
私は“吸血鬼”ではなく、“阿良々木暦”に親友なの、だが

[メイン2] 神原駿河 : ここまで語って萎縮させるのも可哀想だ
仕方がない、ここは安直な答えを返してあげよう……私も甘いな

[メイン2] 神原駿河 : 「“ああ、その通りだ”」

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 少し戸惑った様子だが……やがて、こくんと頷いて。

[メイン2] 七七 : 「じゃあ」

[メイン2] 七七 : 「……生きてない人は、おともだちになれる?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、恐らくな」

[メイン2] 神原駿河 : 「少なくとも、“生きていないから”という理由では友達になれないと、私は思わない」

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、そう言えば。私の目的を話していなかったな」

[メイン2] 七七 : 「するがの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「実を言うと、私の住んでいる街でゾンビが発生してな……」
「その根源が、ここにあるらしい」

[メイン2] 神原駿河 : 「それを探し出すのが、私の目的だな」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「……どうしたんだい、七七ちゃん?」

[メイン2] 七七 : メモに目を落として。

[メイン2] 七七 : 「するが。」

[メイン2] 七七 : 「するが、いい人だよね?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……その、恥ずかしながらあまり良い人とは、自分を呼べないが」
「君には優しくしたいと思っている」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : すこし距離をとり。

[メイン2] 神原駿河 : 「あれ、七七ちゃーん?」

[メイン2] 七七 : 「………………………………の?」

[メイン2] 神原駿河 : ──聞き取れなかった、いや

[メイン2] 神原駿河 : 聞きたく、無かったのかもしれない

[メイン2] 神原駿河 : 「……え?」

[メイン2] 七七 :

[メイン2] 七七 : 『七七のこと、殺しに来たの?』

[メイン2] 七七 :

[メイン2] 七七 : ━━刹那。地面が、何者かに押されるように……めきめきと盛り上がる。

[メイン2] 神原駿河 : 何か、そんな
恐ろしい言葉が、あんな可憐な
聞こえた、聞こえたく無かった言葉が響いて

[メイン2] 神原駿河 : 「な、何を言っているんだ?」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「殺す、だなんて……私の目的は、ソンビにいなくなってもらう事さ」

[メイン2] 七七 : 「……!」

[メイン2] 神原駿河 : 先程、抱き上げた時に香った匂い

[メイン2] 神原駿河 : アレは、いいや。
気のせいだ、きっと、きっと

[メイン2] 神原駿河 : 近くで、猫でも“死んでいたんだ”

[メイン2] 七七 : 「━━うそつき」

[メイン2] 神原駿河 : 「────」

[メイン2] : ……頬を掠める、鋭い痛み。

[メイン2] 七七 : 「やさしくする……って、言ったのに。」

[メイン2] 神原駿河 : 線染めるように、血が滲み、彩る

[メイン2] 神原駿河 : 何かが、ああ、いや

[メイン2] 神原駿河 : ”目の前のこの娘が“か

[メイン2] 神原駿河 : 「まさか、君は……!」

[メイン2] 七七 : ━━神原ほどの若さであれば、この距離でも十分確認できるだろう。

[メイン2] 七七 : こちらを示す指の先に、わらわらと……小さな白い虫が集っているのを。

[メイン2] 神原駿河 : 「──ゾンビ、か」

[メイン2] 神原駿河 : 確信を胸に、相手に大きく遅れ相手を敵と認定する

[メイン2] 七七 : 「うそつき。」

[メイン2] 七七 : ゆっくりと……被っていた帽子をとると。

[メイン2] 七七 : 一陣の風圧と同時に……その左腕の裾を。

[メイン2] 神原駿河 : 「ッ!?」
咄嗟に一歩下り、身を逸らす

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 七七 : 「……するがも。あのおかしな力で、七七を殺しに来たの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……いや、それは」
否定、しきれない

[メイン2] 神原駿河 : 事実、最初は根元に近いゾンビは殲滅するつもりでもあった

[メイン2] 神原駿河 : 話し合いができない相手だ、と聞き及んでいたから

[メイン2] 神原駿河 : こんなに、人間に近いなんて想像もできなかったから

[メイン2] 七七 : 「……違うの?」

[メイン2] 神原駿河 : ……手を汚す羽目になる、なんて考えもしていなかったから 言葉に詰まる

[メイン2] 神原駿河 : 「…そう、だ」
「私は、ゾンビを、それを広める者を殺しに、来てしまった」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「……じゃあ、早くして。」
「するが、いい人だから……待ってあげる。」

[メイン2] 七七 : 冷たい目を。

[メイン2] 神原駿河 : 「……殺されて、構わないとでも?」
「死にたいとでも言う気か!?」

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 七七 : 「……だって、もう……死んでるのと、一緒だから。」

[メイン2] 七七 :
「七七は、生きるために……ここに来た。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
それが、どんな理由かはわからない

[メイン2] 神原駿河 : だが、彼女は攻撃した
恐らくは……“牙”と同じ力で

[メイン2] 神原駿河 : だから、私は……

[メイン2] 神原駿河 : 「……そうか、それでも」
「私は、“ゾンビを殺すよ”」
左腕を構え、宣言した

[メイン2] 神原駿河 : 私の先輩を殺そうとしたから、私を食い物にするから

[メイン2] 神原駿河 : 話も通じないなら、戦争しかない

[メイン2] 神原駿河 : 生きたくても、死にたくなくても
殺したくても、生かしておきたくとも

[メイン2] 神原駿河 : 「殺すしかない」

[メイン2] 七七 : 「…………」

[メイン2] 七七 : それが、自らの生への渇望の妨げとなるのなら。

[メイン2] 七七 : 「━━死なないように、がんばって」

[メイン2] 神原駿河 : 「では、始めようか…!!」

[メイン2] 神原駿河 : そう言うや否や、背を向けて全力で逃げ出した

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「え」

[メイン2] 七七 : きょとん。

[メイン2] 神原駿河 : まあ、コレは死ぬのが怖いとかではなく

[メイン2] 神原駿河 : 七七は、どうやらバグを起こしていずれ動けなくなる

[メイン2] 神原駿河 : 私を見失えば、彼女は無力化されたも同然なのだ

[メイン2] 神原駿河 : なら……動かなくなってから狙えば良い
最悪、朝日が出るまで放置すれば私の勝ちなのだ

[メイン2] 神原駿河 : それに、この街にはいろんな人が集まっている
もし仮に遭遇できれば……

[メイン2] 神原駿河 : まず間違いなく、同種同士で手を組める

[メイン2] 神原駿河 : 「君は、人間ではないからな」
熊や、虎と同じ

[メイン2] 神原駿河 : 助け合える間柄にない以上、数の利は確実にこちらにある

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] : 『聞き給え。ここにて命ずる』

[メイン2] :

[メイン2] :

[メイン2] 氷室 セナ :  

[メイン2] 氷室 セナ : ガードレールをぶっ飛ばして、装甲車が現場に疾走する

[メイン2] 氷室 セナ : タイヤを鳴らして、異常の現場に今到着する

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ん?」

[メイン2] 氷室 セナ : 現場から逃げるように走る人影を捉える

[メイン2] テネブレア : 「ちょっと〜随分と荒い運転だったわよ〜」

[メイン2] 神原駿河 : 何かから逃げるような動きで、全力疾走しながら装甲車目掛けて走ってくる

[メイン2] 氷室 セナ : 「自己責任ですっと…」

[メイン2] 神原駿河 : 「すいませんっ!!今、童女……“ゾンビ”に殺されかけて……助けてください!!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…"ゾンビ"」

[メイン2] 氷室 セナ : ドリフトし、装甲車を停める

[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、今ゾンビと?」

[メイン2] 神原駿河 : 「は、はい!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」

[メイン2] 氷室 セナ : 「怪我人は」

[メイン2] 神原駿河 : 「動く死骸、キョンシー、リビングデッド!」
「怪我人は、私だけです!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「そうですか、では車両に乗ってください搬送します」

[メイン2] テネブレア : 「私も怪我人でーす☆」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビは私が対処します」

[メイン2] 氷室 セナ : 車から飛び降りて

[メイン2] 神原駿河 : 「……え」

[メイン2] 神原駿河 : 「若い…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スカイハイ」

[メイン2] ロレンチーニャ : 車両は無人のまま、動き出した

[メイン2] 氷室 セナ : 「最寄りの病院に運びます、私はこちらで動きますので」

[メイン2] 神原駿河 : 「あ、ありがとうございます……けど、一緒に逃げた方がいいのでは…?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「仕事ですので」

[メイン2] 神原駿河 : 「それに、貴女はゾンビの外見を知らないでしょうし……」

[メイン2] 氷室 セナ : 鞄を漁ると

[メイン2] 氷室 セナ : ちらりと、"SPW"のロゴと

[メイン2] 神原駿河 : (……SPW……スピードワゴン、あの財団!?)

[メイン2] 氷室 セナ : 単発先の擲弾筒を取り出して

[メイン2] 氷室 セナ : 「では」

[メイン2] 氷室 セナ : そのまま現場に走り出す

[メイン2] 神原駿河 : ……まずい、大した事情も話せず見送ってしまった!

[メイン2] テネブレア : 「よいしょっ…と」

[メイン2] 神原駿河 : 相手は……“牙”と同じ武器を使う相手、それを説明し損ねた……なら

[メイン2] テネブレア : 装甲車から降り、見知らぬ女性を見る。

[メイン2] 神原駿河 : 「……あ、初めまして」

[メイン2] テネブレア : 「どうも〜☆怪我人のテネブレアです☆」

[メイン2] 神原駿河 : 「神原駿河、です」

[メイン2] テネブレア : 「現役女子高生ではないけどよろしくね〜☆駿河ちゃん☆」

[メイン2] 神原駿河 : 「…?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ええ、どうも……」

[メイン2] テネブレア : 「それで〜貴方は今行ったセナちゃんを助けにでも戻るの〜?」

[メイン2] 神原駿河 : 「───ッ!」

[メイン2] 神原駿河 : 「そうだった!!」
勢いよく車から飛び降りると、セナを追って走り出す

[メイン2] 神原駿河 : 「すいません、テネブレアさんっ!病院には後で説明しておいてください!!」

[メイン2] テネブレア : 「あ〜待って〜って…」

[メイン2] テネブレア : 「行っちゃった。私も追いかけないとな〜待っててね〜セナちゃん☆」

[メイン2] 氷室 セナ :  

[メイン2] 氷室 セナ :  

[メイン2] 氷室 セナ : 素早く走り、入れ替わりでその現場に

[メイン2] 氷室 セナ : 周囲をちらりと見まわしつつ、目的の"ゾンビ"を探す

[メイン2] 氷室 セナ : 「隠れている…?」

[メイン2] ロレンチーニャ : 周囲のロレンチーニャが索敵として見回る

[メイン2] 氷室 セナ : 「…やはり見つからない、か」

[メイン2] 氷室 セナ : 生体電流を参考に索敵させても、ゾンビともなれば

[メイン2] 氷室 セナ : 生きていない器官には電気は流れていないのだ

[メイン2] 氷室 セナ : 「…この目で確認するしかないか」

[メイン2] 神原駿河 : 地面を軽く蹴飛ばすように、跳ねるようなスピードで走り寄ってくる

[メイン2] 神原駿河 : 「し、失礼!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 神原駿河 : 「先程、言い損ねた事があり、追いかけてきました!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「搬送していたのですが」

[メイン2] 氷室 セナ : 「?」

[メイン2] 神原駿河 : 「相手は、見えない物を使って攻撃してくるみたいなんです」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…見えない物?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ふむ」

[メイン2] 神原駿河 : 「はい、ほら……」
左腕を差し出し、念じると…

[メイン2] 氷室 セナ : 「?」

[メイン2] : 「チュミミーン」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「"スタンド使い"でしたか」

[メイン2] 氷室 セナ : 溜息を一つ、成程

[メイン2] 神原駿河 : 「……ス、スタンド?灯りが、いるんですか?」

[メイン2] 氷室 セナ : ただの被害者では、無かっただけか

[メイン2] 氷室 セナ : 「いや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「そのヴィジョンの通称です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私も持っているものです」

[メイン2] 神原駿河 : 「……この、小さいのが」
……でも、足無いよな

[メイン2] スカイハイ : 右手に、示すように

[メイン2] : チュミミーン、と鳴くとスカイハイに近づく

[メイン2] : ペチペチ触っている

[メイン2] スカイハイ : 生き物のようだが、生きてはいない

[メイン2] 氷室 セナ : 「相手も成程…」

[メイン2] : 寂しげに鳴くと、左腕の中に戻って行く

[メイン2] 氷室 セナ : 「"スタンド"による透明な力、と?」

[メイン2] 神原駿河 : 「は、はい!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴方は下がってください、どちらにせよ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「仕事に素人を混ぜるつもりはないので」

[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイを掲げて

[メイン2] ロレンチーニャ : わらわら、虫が統率を取り

[メイン2] 氷室 セナ : 「周辺警戒」

[メイン2] 神原駿河 : 一歩下り、様子を見守る

[メイン2] 神原駿河 : 「……コレが、貴女のスタンドなんですか?」
「いっぱい、いるのですね」

[メイン2] ロレンチーニャ : 辺りの壁面に張り付き、放電する

[メイン2] 氷室 セナ : 「これらは生物です、スタンドではない」

[メイン2] 神原駿河 : 「……こんな生き物が、身近にいたのか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「学名コーイレエレクトリカスロレンチーニャ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私はロレンチーニャと呼んでいる、まだ学界には出ていない新種の虫」

[メイン2] 氷室 セナ : 「餌は電磁波…故に群れを成すことで」

[メイン2] 氷室 セナ : セナ自身にはわからない、が

[メイン2] 氷室 セナ : 周囲には、レーダーのように目には見えない索敵網が発生している

[メイン2] 氷室 セナ : 「…さて」

[メイン2] 氷室 セナ : 「対象は、どこへ」

[メイン2] 氷室 セナ : 警戒を強めて、周囲を見回すのだった

[メイン2] : その時、ぴくん……と。
そのレーダーを突っ切るように駆けてくる透明ななにかが……神原の方向に。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…怪我人」

[メイン2] 氷室 セナ : 「左に躱して」

[メイン2] 神原駿河 : 透明な何かの早さに気付かず、声に反射で従う

[メイン2] 氷室 セナ : M79擲弾筒を向けて

[メイン2] 氷室 セナ : 一発、榴弾が放たれる

[メイン2] 氷室 セナ : 「…視界に映らない、だけじゃない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「透明な"存在"…!」

[メイン2] : 腹部にぶん、と迸る……悪寒のような風圧。

[メイン2] 神原駿河 : 「なっ──!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「当たらないか…!」

[メイン2] 氷室 セナ : 透明な敵に、正確な狙いは出来ない

[メイン2] 氷室 セナ : すり抜けた榴弾が、後方で炸裂

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ッ」

[メイン2] 七七 : 「……そっち。するがのおともだちの、吸血鬼?」

[メイン2] 氷室 セナ : 静かに、砲弾を取り換える

[メイン2] 氷室 セナ : 「…!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「声…成程」

[メイン2] 神原駿河 : 「七七…!!」

[メイン2] 七七 : 気付いた時には、その少女は二人の背後で……浮いている。
まるで、何かに腰掛けているように。

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女が"ゾンビ"ですか?」

[メイン2] 神原駿河 : ……振り向いてから、寒気が走る

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「キョンシーだ。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「キョンシー」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程、把握しました」

[メイン2] 神原駿河 : 「……中華風の呼び名、なのか?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「同地域の事案でそう呼称された記憶はあります」

[メイン2] 氷室 セナ : 「では、貴女…いや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先ほどに倣えば、七七でしたか」

[メイン2] 七七 : 「七七。」
こくんと

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
コクリと頷いて

[メイン2] 氷室 セナ : 「…言ってましたね」

[メイン2] 氷室 セナ : 「確か、ゾンビだと」

[メイン2] 氷室 セナ : 神原を見る

[メイン2] 氷室 セナ : 「彼女がそれで相違は無く?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 瞳は冷めている、それは仕事だからだ

[メイン2] 神原駿河 : 「手に、ウジが這っていた。それに……」

[メイン2] 氷室 セナ : 医療班であると同時に、屍鬼と何度か対峙したが…

[メイン2] 氷室 セナ : 「…?」

[メイン2] 神原駿河 : 「死臭がする、凄く、わかりやすく」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ウジが?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…死臭?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「認識を改める、任務目標を変更」

[メイン2] 七七 : 「……ねえ。」
「……そっちの、あなたも。私を殺しに来たの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…その話は本当ですね?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「いいや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「対象"七七"」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私は貴女を『確保』する」

[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイを掲げて

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ」

[メイン2] ロレンチーニャ : レーダーの陣形を崩して

[メイン2] 神原駿河 : 「──!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 七七に取り付こうと飛びかかる

[メイン2] 氷室 セナ : 「死体の確保は」

[メイン2] 氷室 セナ : 「医療班の仕事なので」

[メイン2] 氷室 セナ : その語気は、先ほどより強い

[メイン2] 神原駿河 : 死体、と聞き表情が曇る

[メイン2] 七七 : 「……あなたは、いい人じゃない。」

[メイン2] 七七 : すとん、と。そのまま地面に落下し、追撃をかわす。

[メイン2] 氷室 セナ : 「そうですか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「攻勢陣形」

[メイン2] ロレンチーニャ : そのまま、一匹を先頭に

[メイン2] ロレンチーニャ : 数十匹が円を描くように並ぶと

[メイン2] 神原駿河 : 「……すごい、まるで軍隊みたいにあの女の人に従っている」

[メイン2] ロレンチーニャ : テーザーガンのように電流を発生させる

[メイン2] 七七 : 「…………っ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…効いていますか?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「効いていないのなら、他の手を取らせていただきます」

[メイン2] 七七 : 「……熱いのは、嫌い」

[メイン2] 神原駿河 : 「……まだ、手札があるのか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」

[メイン2] 七七 : 逃げるように転がり、その姿が再び見えなくなる。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…索敵!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 微粒な電磁波のレーダーをもう一度

[メイン2] ロレンチーニャ : しかし、すぐには情報は伝達しない

[メイン2] 神原駿河 : 「また、透明に──ッ!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「やはり」

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程、本当に死体だ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャの索敵で見つからないものは、無機物と"生きていない物"」

[メイン2] 氷室 セナ : 「自身の餌として、生物の生体電流に惹かれるはずのロレンチーニャが引き寄せられない…つまり」

[メイン2] 氷室 セナ :
  ゾンビ
「"屍生人"じゃあないッ!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ!陣形解除!」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] : 「……来ないなら、こっちから行くけど。」と、声。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…来る!」

[メイン2] : がりがりがりがり……と、地面が波打つ。

[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 危険を感じる場所へ接近するが

[メイン2] 神原駿河 : 「これは……!?」

[メイン2] ロレンチーニャ : ロレンチーニャには直接的な戦闘力は無く、電気の流れ難いコンクリートには無力だ

[メイン2] 氷室 セナ : 「透明になり、生体電流もない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…そろそろ手が少ないな…」

[メイン2] : 血に飢えた獣の、その虫もろとも猛進し噛みつこうとする気配。

[メイン2] 氷室 セナ : 「ッ!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 突進にその身を砕かれる

[メイン2] 氷室 セナ : 「にわか仕立てです、が!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「コォオオオ…」
深く呼吸を整える

[メイン2] 神原駿河 : この、音は

[メイン2] 氷室 セナ : 「本当に、屍生人なら、これで迎え撃ちましょうか」

[メイン2] : 「……!」

[メイン2] 神原駿河 : なんだ?まるで、谷底を吹き抜ける風のような不思議な音は…

[メイン2] 氷室 セナ : パチパチ、とか細いエネルギーが右手に

[メイン2] 神原駿河 : 音源へと目を向け、何を成すかを確認する

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ロレンチーニャ!」

[メイン2] ロレンチーニャ : 何匹かが、その右手に

[メイン2] 氷室 セナ : 「"波紋"陣形!」
微かな電流を倍増させていく

[メイン2] 神原駿河 : ……まさか、あの手で殴る気なのか!?

[メイン2] : 「がアアアアアアアァァァッッッ!!!」

[メイン2] 神原駿河 : 「凄い、まるで電流が迸るような不思議な力が、セナさんの手に溢れているッ!」

[メイン2] 氷室 セナ : 微かに練られた生体電流を、更に倍増させる媒体としてロレンチーニャを扱い

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ぐッ…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「や、はり…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「効ききっていない…」

[メイン2] 神原駿河 : 「……えっ!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「っ、ゴホッ、ゴホッ」

[メイン2] 神原駿河 : 「だ、大丈夫ですか!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 波紋が解けて、右手が焦げる

[メイン2] 氷室 セナ : 「…七、七さん、聞こえますか」

[メイン2] 神原駿河 : さっきの技、そんなに反動が強いのか…!?

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…私はSPW財団の、氷室セナ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「本来ならば、屍生人という"吸血鬼の眷属"を討伐するという役目で、此処に居ましたが」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女は違う、死体のまま…生きていないと、私は推測します」

[メイン2] 神原駿河 : 「……え?」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「故に、敵ではなく」

[メイン2] 氷室 セナ : 「『患者』と判断したいと考えています」

[メイン2] 神原駿河 : 「な、何が…それに、患者?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンドか、或いは別か…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女の事情を聞かせてほしい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…そうで無いのなら、確保できるまで戦闘を続けます」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] 神原駿河 : 「……七七ッ!!」

[メイン2] 神原駿河 : 「何か、事情が変わりつつあるらしい事を、今更愚かな私は理解した!!」

[メイン2] 氷室 セナ : 波紋は、生命のエネルギー…太陽の力

[メイン2] 氷室 セナ : 屍生人は吸血鬼の弱点であるそれに耐えうることは、無い

[メイン2] 神原駿河 : 「どうやら、ゾンビには種類があるらしい……私は、それを見誤っていた!!」

[メイン2] 氷室 セナ : しかし、相手は違う…理由は定かではない、が

[メイン2] 神原駿河 : 「ゾンビを殺す、といった際」
「君に爪を向けたのは……間違いだったようだ!!」

[メイン2] 神原駿河 : 勢いよく頭を地面に叩きつけ、謝罪の姿勢を取る

[メイン2] 氷室 セナ : 「…?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…兎も角、戦闘を続けるのなら…こっちも貴女も無事に終えません、間違いない」

[メイン2] 神原駿河 : 「すまなかった、私が間違っていた」
「間違った事をした、心の底からそう思う」

[メイン2] 神原駿河 : 「許してくれ、七七ちゃん。この通りだ」

[メイン2] : 「……」

[メイン2] : 立ち登る土煙の中から、表面が薄焦げた透明な犬のようなものが見える。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…おや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…これは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「"違う死体"!?」

[メイン2] 七七 : 「…………」

[メイン2] 七七 : ゆったりと透明化を解除し……セナの背後から首元に向けていた剣を。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…成程」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女の、能力ですね」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
そのまま土下座の姿勢を続けている

[メイン2] 七七 : こくん、と。

[メイン2] 七七 : 「殺さないなら、いいよ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ええ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、振り向いても構いませんか?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、殺さない。私は相手をずっと間違えていた」
「理由が無いし、資格もない、当然権利も有りはしない」

[メイン2] 神原駿河 : 「むしろ、殺されても仕方がない」
「本当にすまなかった」

[メイン2] 七七 : それに答えるように、短剣を収める。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 振り返り

[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」

[メイン2] 七七 : 「……ううん。七七も、するが、いい人でよかった。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…腐敗臭、そして、生体電流も…無い」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…つまり、文字通りの死体であり」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女が、動いているのは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「一体、どういう原理でしょうか」

[メイン2] 七七 : 「……その『死体』は、やめて。七七、生きてる」
セナの方を一瞥し

[メイン2] 氷室 セナ : 「…失敬」

[メイン2] 神原駿河 : 額の血を左腕で拭うと、起き上がる

[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さん、で行きましょう」

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ふむ」

[メイン2] 七七 : 「……するがも、ごめん。疑って」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…すこし、探ってもよろしいですか?」

[メイン2] 氷室 セナ : ずっと考え込むようにしている

[メイン2] 七七 : きしきしという音を立てながら、神原にお辞儀を。

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 神原駿河 : 逆に謝られてしま気まずそうに頬を掻く

[メイン2] 氷室 セナ : 「…単刀直入に」

[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女が動いているのは、スタンドの効果で?」

[メイン2] 氷室 セナ : …実を言えば、事例だけは聞いたことがある

[メイン2] 氷室 セナ : 過去、"正義"の名を冠したスタンドでは

[メイン2] 氷室 セナ : 死体をスタンドで操っていた、という話が合った

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 七七 : 「……灯り、いるの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 神原駿河 : まずい、勘違いが被った

[メイン2] 氷室 セナ : 「いや」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…このような、力です」

[メイン2] 氷室 セナ : 右腕を出し

[メイン2] 神原駿河 : 若干の親しみを抱きつつ、同じく左腕を差し出す

[メイン2] スカイハイ : すっと、そこにスカイハイの姿を

[メイン2] 七七 : 「……!」

[メイン2] : 「チュミミーン」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先ほど、透明になる力も」

[メイン2] 神原駿河 : 「見える、だろうか?」

[メイン2] 七七 : 「……かわいい。生きてるの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私の推測では、このような物によるのかと」

[メイン2] : 「チュミミーン♪」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ある意味では生きていると言えます」

[メイン2] 神原駿河 : 「恐らく、生きている」

[メイン2] 神原駿河 : 「出しっぱなしにしていると物を勝手に運んだりしているが……ひまわりの種とかをやっても食べたりはしない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンド、というのは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私達の魂の分身と、言われています」

[メイン2] 神原駿河 : 「……魂?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それらが力を持ち、エネルギーを伴い飛び出すヴィジョン」

[メイン2] 氷室 セナ : 「故にその全ては違う姿と力を」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど」

[メイン2] 氷室 セナ : 「私の場合、先ほども見せた虫を操作するという力を」

[メイン2] 神原駿河 : 「この、デフォルメされたモグラのような姿が私の魂か……」

[メイン2] 氷室 セナ : 尤も、それを手にしたのは厳密にはDISCを介しているが

[メイン2] 神原駿河 : 「チュミミーン、とか私も鳴きたいんだろうか?」
左腕の上で跳ねるタスクへと目をやり

[メイン2] 氷室 セナ : 「恐らく、見えているということは」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それが扱えるという証拠にもなる」

[メイン2] 七七 : 「……」
じっとそれらを眺める

[メイン2] 氷室 セナ : 「では、簡潔に」

[メイン2] 氷室 セナ : 「あの透明な姿と、透明な死体は貴女の力ですか?」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…成程」

[メイン2] 七七 : 「……七七のは、あんまりかわいくない。ヤマガラがよかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ふむ」

[メイン2] 神原駿河 : 「ヤマガラ?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「鳥の名前ですね」

[メイン2] リンプ・ビズキット : うじゅうじゅと、指の上を這っているところを掲げられる。

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、なるほど…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…っと」

[メイン2] 神原駿河 : 「ッ!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……成る程」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ひょっと、して」
「コレはスタンドだったのか…?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「………では」

[メイン2] 氷室 セナ : 「聞かせてください、もう一つ」

[メイン2] 七七 : 「たぶん。七七が起きた時から、ずっといる。」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…何故、ここに来ているのですか?」

[メイン2] 七七 : 「……あ。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「差し支えなければ、私は貴女を施設に保護したいと考えています」

[メイン2] 神原駿河 : それを聞いたことが皮切りに、先程はずいぶん事故を起こしてしまった…

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンドの力で生きている、という事案は」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…改善すべき事ですから」

[メイン2] 七七 : 再びごそごそ、とポケットを探り。

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女を傷つけるつもりはない」

[メイン2] 七七 : 「『するが』?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……あー」

[メイン2] 神原駿河 : 「私の名前を覚えてくれた時の奴だな」

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] 七七 : 「こっちじゃなかった」

[メイン2] 七七 : 「『あかいいし』」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、うん」
「それだな」

[メイン2] 氷室 セナ : 「あかい、いし?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…赤い石を」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、せんせい、とやらが探してきて欲しいと言っているようだ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「何のために?」
視線が、鋭く

[メイン2] 七七 : 「えっと、そう。するがの言う通り」

[メイン2] 氷室 セナ : 「………」

[メイン2] 神原駿河 : 「……そこまでは、教えてもらっていないな」

[メイン2] 氷室 セナ : 赤い石、昔…任務の過程で聞いた

[メイン2] 氷室 セナ : 『エイジャの赤石』

[メイン2] 氷室 セナ : 「…成る程」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それは、ここにあると、聞いているのですか?」

[メイン2] 七七 : 「うん。」

[メイン2] 七七 : 「先生、赤い石があったら、七七のことも、元通りって言ってた。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「では、こうしましょう」

[メイン2] 七七 : 「?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「仮に私が、貴女を元通りにすることに手を貸すと言えば、手を引きますか?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ふむ、悪くない提案に聞こえるな」

[メイン2] 七七 : 「…………えっと」

[メイン2] 七七 : 「するが。こっちの人は?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、えーっと…セナさんだ」

[メイン2] 七七 : 「せな」

[メイン2] 神原駿河 : 「そう、セナ。カタカナでいい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ああ、名乗りが遅れていましたか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「セナ、氷室セナ」

[メイン2] 七七 : 「せな、せな」

[メイン2] 氷室 セナ : 「SPW財団医療班、及びエージェント」

[メイン2] 七七 : メモに書き足しながら。

[メイン2] 神原駿河 : 「……え、エージェントとはまた凄い言葉が」

[メイン2] 七七 : 「すぴーどわご……」
混乱しながら。

[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、焦らせましたね」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ただの医者です」

[メイン2] 神原駿河 : 「……まあ、そっちは置いておいていい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それでいい、それ以外の肩書きは必要ない」

[メイン2] 七七 : 「おいしゃさん。先生と同じ?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先生が、命を助ける人であるのならば」

[メイン2] 神原駿河 : ……『先生』とやらは医者なのか

[メイン2] 氷室 セナ : 「私の仲間、でしょう」

[メイン2] 七七 : 「……わからないけど、たぶん。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…信じますよ」

[メイン2] 七七 : 「じゃあ、せなもいい人。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「そして、一つ聞いてください」

[メイン2] 七七 : 「……?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「赤い石は、私の記憶の限りでは…命を助けるものではない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「本当に、赤い石だけを探すと?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……え」

[メイン2] 神原駿河 : 事実であれば、七七の先生は、この童女にウソをついたことになるのだろうか?
とすれば……何故?

[メイン2] 氷室 セナ : 「…いえ、語弊がありますね」

[メイン2] 氷室 セナ : 「厳密には、それだけでは赤い石は役に立たない」

[メイン2] 七七 : 「?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…石だけでは貴女を助けられないんです」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それに…」

[メイン2] 氷室 セナ : ……患者を引き換えにして、探させる

[メイン2] 氷室 セナ : 幼いはず、なのにその様な行動は…

[メイン2] 氷室 セナ : 「……兎も角」

[メイン2] 氷室 セナ : 「もし貴女が良いなら、私にも医者として手を貸させて欲しい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「先生の許諾、或いは契約があるのなら私に話させて欲しい」

[メイン2] 七七 : 「……えっと」
ひとつずつ、言葉を飲み込みながら。

[メイン2] 七七 : 「いいよ。」

[メイン2] 神原駿河 : 「軽いッ!?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…よし」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ありがとう、責任は取ります…あと」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…もう一つ聞かせてください」

[メイン2] 氷室 セナ : 「赤い石は、こんな形で?」

[メイン2] 氷室 セナ : バックから一枚

[メイン2] 七七 : 「なに?」

[メイン2] 七七 : 覗き込むように

[メイン2] 氷室 セナ : 古びた写真を出す

[メイン2] 氷室 セナ : それは、昔回収したもので

[メイン2] 氷室 セナ : 確かにスーパーエイジャのモノだ、仮面にはめ込まれた姿の

[メイン2] 七七 : 「……」
しばらく、じっと見つめて

[メイン2] 氷室 セナ : …出自はナチスドイツの検問資料である

[メイン2] 神原駿河 : 「……不気味な仮面だな」

[メイン2] 七七 : 「ううん…」

[メイン2] 神原駿河 : 昔見た、左腕と同じ嫌な雰囲気を感じる

[メイン2] 七七 : 「色は同じ。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「色は同じ、と」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なんだ、違ったのか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…把握しました」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ありがとうございます、助かります」

[メイン2] 七七 : 「かおは、なかった。ネックレスみたい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ッ!」

[メイン2] 神原駿河 : 「ネックレスか」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ネックレス」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…ネックレス、か」

[メイン2] 神原駿河 : 「うむ、納得だ」

[メイン2] 氷室 セナ : ……ただの勘違い、だと思いたかった

[メイン2] 氷室 セナ : ……違う

[メイン2] 神原駿河 : 「こんな趣味の悪いものにくっついていると、ありがたい物には到底……」

[メイン2] 神原駿河 : 見えない、そう言いたかったが

[メイン2] 氷室 セナ : "ネックレス"は、スーパーエイジャの保管した姿だ

[メイン2] 氷室 セナ : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「わかりました」

[メイン2] 神原駿河 : ……表情から察するに、コレで正解らしい

[メイン2] 氷室 セナ : 「私は……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……いえ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さん」

[メイン2] 七七 : 「なに?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ついてきてください、あと……駿河さんも」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、はい!」

[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンド使いならば、SPW財団としても管轄になります」

[メイン2] 七七 : 「わかった。」

[メイン2] 七七 : 「するがも、きてくれるの?」

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ええ」

[メイン2] 神原駿河 : 「ゾンビの根源を探しにきたんだけれど、色々優先すべき事を先に片付けよう」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビ?」

[メイン2] 七七 : 「ん。うれしい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「お待ちください」

[メイン2] 神原駿河 : 「?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「彼女は別、と?」

[メイン2] 七七 : 「どうしたの?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「……端的に言いましょう」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビは、我々の呼称で屍生人、という存在です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さんは、あくまで人間で…その認識の相違で報告されたと考えています、が」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…その屍生人自体も、居るのかと」

[メイン2] 神原駿河 : 「……厳密に言えば、私の故郷に“いた”」

[メイン2] 氷室 セナ : 「参考として、理性はなく」

[メイン2] 氷室 セナ : 「太陽にも弱い」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、その“ゾンビ”だ」

[メイン2] 七七 : 「……七七も、お日さまはちょっと苦手。」

[メイン2] 氷室 セナ : 「最大の特徴として」

[メイン2] 神原駿河 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「屍生人は、生物です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「吸血鬼という存在が、自身の体内で抽出した成分により人間を変質させた生き物です」

[メイン2] 神原駿河 : 「一言一句、それで正解だ」
「私たちの街に現れたゾンビは、太陽で溶け、理性が無く、怪異でもない生き物だった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった、わかりました」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…そちらもいるのなら、話は別だ」

[メイン2] 七七 : 「にんげんじゃない、にんげん?」

[メイン2] 神原駿河 : 「…ああ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「ええ、人間ではない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「原理としては、脳の変質です」

[メイン2] 神原駿河 : 「人間を辞めてしまったんだ、無理やりか、自発的にかはわからないが」

[メイン2] 氷室 セナ : 「脳内で、特殊な変質を起こす事で」

[メイン2] 氷室 セナ : 「人体にも作用するほどのエネルギーを引き出す代わりに理性を崩します」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 氷室 セナ : 「それらは、吸血鬼であれ屍生人であれ」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…人でなく怪物になっている、という事です」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、そうらしい」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…兎も角、事態は把握しました」

[メイン2] 氷室 セナ : 「行きましょう、少々連絡事項が増えた…」
踵を返して

[メイン2] 七七 : 「……それが、七七たちの敵?」

[メイン2] 氷室 セナ : 「敵です」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…私の知る限り」

[メイン2] 七七 : 「……うん。わかった」

[メイン2] 氷室 セナ : 「…理性を保ち、人間だった屍生人はいない」

[メイン2] 氷室 セナ : 「吸血鬼で、あれ」

[メイン2] 神原駿河 : 「……恐ろしい物だな」

[メイン2] 氷室 セナ : そのまま、来た道を引き返す

[メイン2] 神原駿河 : 「七七ちゃん、私達もついて行こう」

[メイン2] 七七 : 「あ……うん。」

[メイン2] 七七 : くい、と神原にむかって手を伸ばす。

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「……七七のこと、こわい?」

[メイン2] 神原駿河 : 「……少しだけな、言ってしまえば他人とは少なからず怖い」
だけれども、私は

[メイン2] 神原駿河 : 「だが、それを受け入れられるのが人間だ」
当然のように手を取り、繋ぐ

[メイン2] 七七 : 「……あ」

[メイン2] 七七 : その手の温もりが、まるで身体の奥底にまで伝わってくるように。

[メイン2] 神原駿河 : 「七七も、私を受け入れてくれただろう?」
「自分の領域に誰かを踏み入らせるのは勇気がいる」
「……人の怖さを知っているなら特にな」

[メイン2] 神原駿河 : 「改めて、お礼を言わせてもらおう」

[メイン2] 神原駿河 : 「ありがとう、七七。私を許してくれて」

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : 「……七七、いろんなこと、わかんないけど」

[メイン2] 七七 : 「……するがなら、一緒にいても大丈夫。だと思う」

[メイン2] 神原駿河 : 「……なら、安心だ」

[メイン2] 七七 : 「……だから。ありがと、するが」

[メイン2] 七七 : ぴとり……と、苦手だったはずの熱を身体ごと求めるように。

[メイン2] 神原駿河 : 「……ふふ」

[メイン2] 神原駿河 : 「そりゃっ!」
勢いよく抱き抱えると、そのまま七七を背中に背負う

[メイン2] 七七 : 「わ!」

[メイン2] 神原駿河 : 「さあっ!セナさんを待たせるわけにも行かない」

[メイン2] 神原駿河 : 「私の背中にしっかり捕まっておくんだぞ…!」

[メイン2] 七七 : 「……うん!」

[メイン2] 神原駿河 : 勢いよく走り出す

[メイン2] 神原駿河 : 風景を置き去りに、一気に走り抜けて行く
手は背中に回して七七を支えているが、スピードに淀みはない

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : 「それにしても、先程見た……『波紋』だったか、どこかで見たような…」

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 氷室 セナ :  

[メイン2] 氷室 セナ : …ん

[メイン2] 氷室 セナ : なる、ほど

[メイン2] 氷室 セナ : …いや、確かに

[メイン2] 氷室 セナ : あまりにも上手くやれすぎてた、だけですね

[メイン2] 氷室 セナ : ………いや、でも

[メイン2] 氷室 セナ : このままでは…せめて、せめて何かを

[メイン2] 氷室 セナ : ……でも、スカイハイは、もう

[メイン2] スカイハイ :  

[メイン2] 氷室 セナ : …?

[メイン2] 氷室 セナ : いや、スカイハイは…消えてしまうはず

[メイン2] 氷室 セナ : DISCは、死にゆく魂に引かれる…はず

[メイン2] 氷室 セナ : …まだ、まだ何か

[メイン2] 氷室 セナ : 何かが魂を、引き留めている!

[メイン2]   : ┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨┣¨……

[メイン2] 『魂の掃除屋』 : ┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨┣¨……

[メイン2] 氷室 セナ : この…生き物か

[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイで、繋がっている…!

[メイン2] 氷室 セナ : 魂を引き留めて…つまり

[メイン2] 氷室 セナ : …この生物にできることなど、何もわからないが

[メイン2] 氷室 セナ : 魂さえ残っているのなら…人はまだ

[メイン2] 氷室 セナ : 精神は死んでいないッ!

[メイン2] 『魂の掃除屋』 : ウギイイイイ

[メイン2] 『魂の掃除屋』 : 瞬間、セナの腹の穴に食らいつく

[メイン2] 氷室 セナ : ふ、ぐ…ぐ!

[メイン2] 氷室 セナ : いや…しかし

[メイン2] 氷室 セナ : まだ、操れるなら…ッ!

[メイン2] 氷室 セナ : ガッ、あッ!!!

[メイン2] 氷室 セナ : …く、く、あ

[メイン2] 氷室 セナ : …これで

[メイン2] 氷室 セナ : …まだ、やれる

[メイン2] 氷室 セナ :  

[メイン2] 氷室 セナ :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : ここは、セナが案内してくれた施設

[メイン2] 神原駿河 : 実を言えば、ここまで来るのにほぼ気絶寸前で内装もよく見れていなかった

[メイン2] 神原駿河 : そして、ベッドに倒れ込んで寝てから……

[メイン2] 神原駿河 : 「……今、起きた」

[メイン2] 七七 : ぽすり、と神原の布団の上に乗っかっている。

[メイン2] 七七 : 「おはよ。」

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、おはよう。七七」

[メイン2] 七七 : 「するが、よく寝てた。いいこと」

[メイン2] 七七 : ぴょいとベッドから飛び降りて、柔軟体操を始める。

[メイン2] 神原駿河 : 続いて体操をしながら、神原は思案に浸る

[メイン2] 神原駿河 : (……あの一戦で起こった、回転はなんだったんだ?)

[メイン2] 神原駿河 : 指の一本、その爪弾だけが、まるでドリルのように……

[メイン2] 神原駿河 : ……アレが、恐らくは私の……“牙”の進化

[メイン2] 神原駿河 : 何ができるかは掴めないが、これまでの爪弾とは比べ物にならない威力だった……

[メイン2] 神原駿河 : 次の戦いまでに、習熟しなければ……

[メイン2] 神原駿河 : その様な事を考えながら、体操を順調にこなして行く

[メイン2] 七七 : 「……難しい顔。悩み事?」

[メイン2] 七七 : 先に体操を終えたらしい様子で、顔を覗き込む。

[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ」

[メイン2] 神原駿河 : 「スタンドの進化、について考えていてな」

[メイン2] 神原駿河 : 「一度偶然やれた……では、ダメだ」

[メイン2] 神原駿河 : 「せめて、起こった過程を理解しないと……」

[メイン2] 七七 : 「……。」

[メイン2] 七七 : 「じゃあ、聞いてみたら?……その子に」

[メイン2] 神原駿河 : 「……こいつ、か?」
左腕を差し出すと

[メイン2] 七七 : こくん。

[メイン2] : フヨフヨと、腕の上に浮いて現れる

[メイン2] 神原駿河 : 「……そう、だな」
「こいつは私の魂の分身、みたいな物だ」

[メイン2] 神原駿河 : 「少し、向き合ってみようと思う」

[メイン2] 七七 : それに首肯し、自身のベッドに腰掛けてぼうっと休む。

[メイン2] 神原駿河 : ……手の中に“牙”を囲うと目を閉じ集中する

[メイン2] 神原駿河 : 新たな“牙”それを手にしていた一時を思い返す

[メイン2] 神原駿河 : ……あの時、私は

[メイン2] 神原駿河 : 強く“意識”していた
過ぎ去る一分一秒を

[メイン2] 神原駿河 : それは、どこが始まりだったか…

[メイン2] 神原駿河 : …そう、だ

[メイン2] 神原駿河 : 魂の掃除人

[メイン2] 神原駿河 : アレを見て、彼らと絆をセナの説明を聞いた時

[メイン2] 神原駿河 : 私は……何かを掴みかけていた筈

[メイン2] 神原駿河 : ……その時から、『回転』が始まっていた

[メイン2] 神原駿河 : あの生物に、私は何を見出したんだ?

[メイン2] 神原駿河 : 「……」
世界の仕組み、密接に関わる機構の一部

[メイン2] 神原駿河 : “命”にとても、とてつもなく近い存在

[メイン2] 神原駿河 : “命”……?

[メイン2] 神原駿河 : そう思い、自分の手を視線で貫く様に見つめるが……

[メイン2] 左腕 : 爪に変化はない、むしろ以前より爪の伸びが遅くなっていると感じる

[メイン2] 神原駿河 : 「……あの時、私が見ていた物は、感じていた物は」

[メイン2] 神原駿河 : 「……”感謝“、いや」

[メイン2] 神原駿河 : 「敬意か」

[メイン2] 神原駿河 : きっと、これは近道をさせてもらった事になる

[メイン2] 神原駿河 : 「……“魂の掃除人”か」

[メイン2] 神原駿河 : 魂を拭い続ける、最も大きい自然現象、いや世界現象の一つ

[メイン2] 神原駿河 : 自然、その命の形に最も長く接し続けた“生き物”

[メイン2] 神原駿河 : それを何度も目にできたから、私は……

[メイン2] 神原駿河 : 美しさに気付けた

[メイン2] 神原駿河 : 「……美しさへの、敬意か」

[メイン2] 神原駿河 :  

[メイン2] 神原駿河 : 『黄金長方形』
これは、自然が産んだ最も美しい物

[メイン2] 神原駿河 : それを幾重も重ね、その中心へと進む
無敵の回転

[メイン2] 神原駿河 : それが、『黄金の回転』

[メイン2] 神原駿河 : 「……答えを教えてくれてありがとう、act2」

[メイン2] 神原駿河 : 「今日から、私はこの美しさに気づいて生きていける」

[メイン2] 神原駿河 : 「……本当に、本当にありがとう」

[メイン2] act2 :  

[メイン2] 神原駿河 : 手の中に収まるほど小さかった“牙”は、ここに新たな姿を体現する

[メイン2] 神原駿河 : 「……やった!」

[メイン2] 七七 : ぴょん。

[メイン2] 七七 : 「……おめでと、するが。がんばった」

[メイン2] 神原駿河 : 涙を流しながら、新たな“牙”を迎え入れる

[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、ああ……!やり遂げたよ…!」

[メイン2] 七七 : 「うん。えらいえらい」
頭を撫でるような仕草をしつつ、その新しく生まれ変わったスタンドの姿を見て。

[メイン2] 七七 : 「こんにちは」

[メイン2] act2 : 踊る様に舞い上がり、また左手の中に消える

[メイン2] 七七 : 「……」

[メイン2] 七七 : ……人生の価値を再考し、生へ感謝することによって生まれる……精神の成長。

[メイン2] 七七 : 成長しない死体は、そんな生の持つ特権を……少し羨んだ。

[メイン2] 七七 :

[メイン2] 七七 :

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ : 「…………」
通信端末のオプションを開き、電子タバコの先端を端末から噴き出た立体映像に潜らせれば
それは"起動"した。

[メイン2] エイハブ : 煙を吸い、口の中で楽しめば
それをフゥーッ、と虚空へと溶かしていく。

[メイン2] エイハブ : 俺達が交戦した、ザ・ワールド……"DIO"はセナ達の手で、葬られた事。
そして、SPW財団本部と一時通信不可能となっていたが、すぐに回復した事を知った。

[メイン2] エイハブ : 「…………"ボルサリーノ"」
海軍大将としての口利き、口添え。
SPW財団は世界政府からの圧力を鼻から跳ね返す気だっただろうが、最悪、世界政府直属からの実力行使となっていたはずだ。

───感謝、だな。

[メイン2] エイハブ : それにしても、セナの傍にいたあの女は……
"セト神"の影響を受けていたのだろう、だがスタンドはDISCを一閃。破壊したはずだ。
"影響"がまだ残っているというのだろうか、それは定かではない。

[メイン2] アヌビス神 : 「…………フフフ 久々に『口数』が少なくなったな、エイハブ」

[メイン2] エイハブ : 目を細め、鞘に納めている妖刀へと目をやる。

[メイン2] エイハブ : 「お前は最初に会った頃から、随分とフランクになったもんだ」
ニヤリと口角を上げ、再び煙を味わう。

[メイン2] アヌビス神 : 「───……
 エイハブよ かつてお前は『静寂』そのものだったが、変わったな」

[メイン2] エイハブ : 「…………"静寂"か」
フゥー、と煙を吐き。虚空へと溶かしていきながら
灯っていた光を、消す。

[メイン2] エイハブ : 「…………」

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ : ……

彼女は、「クワイエット」でいたかったわけではない。

[メイン2] エイハブ : 「言葉」を使いたかったんだ。

[メイン2] エイハブ : 「共通の言葉」を使い
気持ちを───伝え合いたかった。

彼女はそう言っていた。

[メイン2]   : 私に、与えられた言葉は
「報復」だった。

[メイン2]   : でも、私が彼らと共有した言葉は

いや

それは言葉ではなかった───…………

[メイン2]   : だから
私は彼らに感謝の言葉を使い

[メイン2]   : また『静寂』に変えるのだ……。

[メイン2]   : 私は"クワイエット"

私は……

[メイン2]   :


言葉ではない。

[メイン2] アヌビス神 : 「…………オイオイオイ! いきなり黙りこくってどうしたんだ! エイハブ!」

[メイン2] エイハブ : 「───……」
俺は、そのまま空を見上げる。

[メイン2] エイハブ : 今にも……落ちてきそうな満天の星空が広がっていた。

[メイン2] エイハブ : 「俺は……俺がそう思っている、そう信じているだけだが……
 彼女の分まで……勝手だが、口数を増やしただけさ」

[メイン2] アヌビス神 : 「───…………」

[メイン2] エイハブ : 「あの星空がいきなり全部降り注いだら、どうなるだろうな
 ───……」

[メイン2] アヌビス神 : 「フッ ハハハ ……あまり怖い事を言うな エイハブ」

[メイン2] 十六夜咲夜 :

[メイン2] 十六夜咲夜 :

[メイン2] 十六夜咲夜 : お嬢様に聞かされた。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 私には腹違いの兄が三人居るって。
私には腹違いの弟が一人居るって。
私には腹違いの妹が一人居るって。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 顔も知らない父の子なんて、興味はなかったから
それ以上は聞かなかった。

[メイン2] 十六夜咲夜 : ……今になって、その『血』の運命が私に回ってきたのは、何の因果か。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 感じる。私と近しい気配を。

[メイン2] 十六夜咲夜 : きっとこの気配が……ディオ・ブランドー。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 私は無意識に、夜空の中漂う煙に。
……そして、その近くにある気配に近づいていた。

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ : 「───……」
口寂しいというわけではない。
だが、ただ何かに浸りたい。一心不乱に先ほど消したばかりの光を再び灯らせて
煙を味わい続けていた。

[メイン2] エイハブ : やけに静かだ。
まだ"石仮面"は見つかっていないというのに、茹だるような熱気はもはや消え去り……残るは手を悴む寒気。

[メイン2] エイハブ : だが───妙に落ち着かない。
後は"石仮面"だけ……DIOは再び、葬られた。
そしてスーパーエイジャも、今はセナが持っている。

[メイン2] エイハブ : 何か───俺達は、見落としているとでもいうのか?

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「あの」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「少し、よろしいでしょうか?」

[メイン2] エイハブ : 「───」
声のする方に目をやれば、そこに立っていたのは
"メイド服"を靡かせる───女性だった。

[メイン2] エイハブ : …………カバーストーリー、そしてその実……避難命令は、まだ出ているはずだ。
逃げ遅れた、一般人?
この出で立ちで、そう思えるわけもない。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……『気が付いたら、ここに居まして』」

「『案内を頼めるでしょうか?』」

[メイン2] エイハブ : 「……」
少し、間をおいて。

[メイン2] エイハブ : 「───具体的にはどこに、あるいはどんな所に"案内"してほしいのか
 …………『訊こう』」

妙に『強調』されるが、眉を僅かにひそめる事もなく
こちらも『強調』して返す。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そうですね……どこに、と訊かれると困りますが」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……『親族の遺骨がある場所』、ですかね」

[メイン2] エイハブ : 「───アンタの親族、か
 ここらに『墓地』も『納骨堂』もなかった筈だが……」

[メイン2]   : ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

   ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

[メイン2] エイハブ : 「『アンタの親族の名を訊いても良いか』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「『ブランドー』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「『ディオ・ブランドー』」

[メイン2] アヌビス神 : ───!!?

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そう聞いています」

[メイン2] エイハブ : 「…………」
電子タバコの灯りを消すと、それをしまい込み。
彼女を凝視する。

[メイン2] エイハブ : 「ディオ」

[メイン2] エイハブ : 「イタリア語で……"神"を意味する。
 ……D(ディー) I(アイ) O(オー)……」

[メイン2] エイハブ : 「…………その男は

 同姓同名でなければ」

[メイン2] エイハブ : 「『先ほど───SPW財団によって葬られた』」
正確には、そこに所属する"セナ"と、その協力者によって。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そうですか」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「私が聞いてるのはッ!!!『そいつの遺骨』がドコだって聞いてんだよこのタコッ!!!!」

[メイン2] エイハブ : 「───俺は『オクトパス』じゃあない
 『スネーク』だ……」

そう言い、目を細めると───

[メイン2] エイハブ : 「『遺骨』は知らん
 葬った、それ以外に俺にはわからん」

[メイン2] エイハブ : DIOの『遺骨』───なぜ彼女はそれを求めているッ……?

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「タコだとかヘビだとか……貴方は国語の教師であらされるのでェ!?」

「『遺族』に対する『敬意』ってのがあるでしょォ~~~がァ~~~」

[メイン2] エイハブ : 「残念だが……国語は専門ではないんでな
 それに『敬意』をはらおうにも……敵意剥きだしと言わんばかりの『態度』を
 取られては───そうもいかん、だろう?」

[メイン2] エイハブ : 「その『遺骨』をどうするか
 今度はこちらから『質問』させてもらおうか」

[メイン2] エイハブ : 悴みかけていた手に、汗が滲み始める。
そして、寒気さえも忘れるほどに───茹だる熱気……という幻視。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「さあね。私にもよくわからないわ」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……だけどね、なぜかどうしても『欲しい』のよ。知りもしない家族に情でも沸いてるってのかしら?笑えるわ」

[メイン2] エイハブ : ……『引力』だというのか これが……。
知りもしない家族に 情を沸かせている?
本当にそうだというのか……!? だが彼女がディオの関係者だとするなら……

[メイン2] エイハブ : この施設の中に入らせる事は

───間違いなく『マズい』

[メイン2] エイハブ : ジョジョ……ジョナサン・ジョースターと会えば……
あるいはスーパーエイジャを、その目に捉えた時。
どう出るか 俺には……『恐ろしい』

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「それでッ!!『遺族』への『配慮』はどうなったのよッ!?まさか『ディオ・ブランドー』だからって理由で父親の骨も見せてくれないんじゃあないでしょうね、ヘビの叔父様ァ~~~」

[メイン2] エイハブ : 「……『遺族』への『配慮』だと?
 ここに無い物を見せて アンタが納得するか? しないだろう……
 ……だが あの男が葬られた現場なら 俺には検討がつくがな

 ブランド―の親族だけあって『血気盛ん』だな………落ち着く事だ」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「じゃあ『案内』してもらいましょうか……その『現場』にッ!」

[メイン2] エイハブ : 「ああ……だがッ!!!」
バッ、と走り出し。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「?」

[メイン2] エイハブ :
  レース
「『競争』だ……

 仮に『遺骨』が存在するなら、それを『回収』せねばならん
 この俺が、先に……」

[メイン2] 十六夜咲夜 :
   レース
「『競争』ねぇ」

[メイン2] エイハブ : 「アンタの行動原理はあまりにも不可解だ……

 『遺骨』は確実に回収し……粉砕して───渡してやる」

[メイン2] エイハブ : 「見つからなければ…………

 それはそれで『幸い』だがな…………」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「相手の『能力』も把握せずに安易な勝負を仕掛けるのは」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「少し、愚かなんじゃないかしら?」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「……『ルナ・ダイアル』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 瞬間、その姿がそこから消えて

[メイン2] アヌビス神 : 「!!! エイハブ───あの女が消え……」
見えなかったッ!! 動きが……

[メイン2] 十六夜咲夜 : エイハブの走る『先』に現れる

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「追いつけるかしら?」

[メイン2] エイハブ : 「ッッ!!! ───速いな、いや……『スタンド能力』……か?」
悟られないよう通信端末を『ON』にするッ!!!

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ : 『DIOの関係者と交戦中───』

『場所は……いや、俺と女の向かう先は……』

[メイン2] エイハブ : 『ザ・ワールドが葬られたエリアだッ!!』

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] 十六夜咲夜 : ルナ・ダイアルにスタンドの『ビジョン』はない

[メイン2] 十六夜咲夜 : これは彼女が、『幽波紋』を知らぬ頃から共にあった『能力』

[メイン2] 十六夜咲夜 : 明確な『ビジョン』を持たぬ代わり

[メイン2] 十六夜咲夜 : その単純な『能力』は

[メイン2] 十六夜咲夜 : 『DIOの世界』を軽く越える

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「貴方の時間も、私のもの」

[メイン2] エイハブ : 「俺の時間が───アンタの『物』だと……!!!
 ……『DIO』と繋がりのある者らしいな」

[メイン2] エイハブ : 「アンタも……『時間』かッ!!!」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「ええ。……『も』?」

[メイン2] エイハブ : 「───『競争』がてら……
 話してやろうか アンタ───お前を引き寄せる『DIO』のスタンドを」

[メイン2] エイハブ : 「ヤツは……『時間』を止めた
 ……お前も同じか───同じタイプのスタンドか」

[メイン2] エイハブ :
      ザ・ワールド
「名は───『世界』」

[メイン2] 十六夜咲夜 : 「そう……」

[メイン2] 十六夜咲夜 : ザ・ワールド。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 彼女は内心驚いた。
自分が名付けた『符』と同じ名が聞かされたから。

[メイン2] 十六夜咲夜 : 無意識に、自分は血に縛られていたのかもしれない。

[メイン2] エイハブ :
    レース
熾烈な『競争』は始まった。
この夜空の下を駆ける『蛇』と『血』───。


 "運命"に縛られた者同士の、競争劇が。

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] エイハブ :  

[メイン2] テネブレア :

[メイン2] テネブレア :  

[メイン2] テネブレア : 「っっ…………ま………」

[メイン2] テネブレア : 「いったぁ………はぁ。」

[メイン2] テネブレア : 「………………………」

[メイン2] テネブレア : …大切な人がいたはず…………
想いがあった……筈なのに………

[メイン2] テネブレア : すっぽりと穴があいて。思い出せない。

[メイン2] テネブレア : 「…………………ここから出なきゃ」

[メイン2] テネブレア : この部屋の。
机に

[メイン2] テネブレア : 資料があった。

[メイン2] テネブレア : 「セナ……?あぁ…セナちゃんの事ね……」

[メイン2] テネブレア : ……………………

[メイン2] テネブレア : 「何故この部屋にいるのかも、彼女に会って話でもしないとね〜」

[メイン2] テネブレア : 「ふーんふーん〜」
時空の壁を捻じ曲げ、其処へと足を運ぶ。

[メイン2] テネブレア :  

[メイン2] テネブレア :  

[メイン2] テネブレア :  

[メイン2] テネブレア :  

[メイン2] テネブレア : …………はぁ…何度も探して…やっと見つけたわ

[メイン2] テネブレア : ………気絶してるし

[メイン2] テネブレア : そっと、セナの上に手を乗せて。

[メイン2] テネブレア : 彼女の、奪われた体力も回復させる。

[メイン2] テネブレア : 「……………………はぁ、帰ろ。」

[メイン2] テネブレア : 「……ばいばい。」

[メイン2] テネブレア : 「…………………セナちゃん」

[メイン2]   : 瞬時に幻影の王は、その場から消え去る。

[メイン2]   :  

[メイン2]   :  

[メイン2]   :  

[メイン2] ディオ : 「───フンッ!!!」
圧倒的パワーで組まれた状態から脱出し、ジョジョを高所から放り投げようとするッ!

[メイン2] ジョジョ : 「ぐっ!」

[メイン2] ジョジョ : 咄嗟に受け身を取り起き上がるッ!そのまま遠ざかる方向へッ!

[メイン2] ディオ : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ───ッ!!!」
拳を打ち込もうとするが、遠ざかる事で躱され。

[メイン2] ディオ : 「!!」

[メイン2] ジョジョ : 今のディオは、ぼくの『波紋』じゃ倒せないッ!

[メイン2] ジョジョ : 『波紋』すらなかった『あの頃』のように……
『人間』としての『知恵』と『勇気』を総動員しなければ……

[メイン2] ジョジョ : 今のディオは、倒せないッ!

[メイン2] ディオ : 「ほお……この状況でも思慮にふける余裕があるとはなァ~~……
 『JOJO』!!!」

[メイン2] ディオ : その素早さは───豹のそれ。
『天国の外側』から分体した時点で、ディオ自体の『成長』は止まっているが。

[メイン2] ディオ : それでもッ!!!

[メイン2] ジョジョ : 窓を破って逃げ込んだ先ッ!

[メイン2] ジョジョ : 『格納庫』ッ!

[メイン2] ディオ : 「!! ───ほお、だがどうだ『JOJO』
 袋小路ってやつだなァ~~~……」
ググ、と筋肉を隆起させ。

[メイン2] ジョジョ : ディオが踏み込んできた瞬間ッ!

[メイン2] ジョジョ : 巨大な『弾丸』がその身を襲うッ!

[メイン2] ディオ : 「ッう!? がふっ───何だとッ!!!」

[メイン2] ジョジョ : ディオが『引き出した世界』では『人類の矛』となったかもしれない、そして今『開発』されていた巨大機械ッ!

[メイン2] ジョジョ : 『戦術機』ッ!

[メイン2] ジョジョ : 「『機械制御への波紋疾走』!!!」

[メイン2] ディオ : 「コイツ───ッ!!!」

『生物』には『技術』……!!! 変わらないな……『JOJO』

[メイン2] ディオ : 「URYYYYYYYYYYYYYYYYッ────!!!!!!」
その弾丸に、一瞬でミンチにされる前にその猛攻から抜け出し
格納庫の壁を叩き壊し、床を叩き壊し、天井を叩き壊し。

[メイン2] ジョジョ : それに回り込むように、壁のへりに捕まり

[メイン2] ジョジョ : ドロップキックで隣の部屋に叩き込むッ!

[メイン2] ディオ : 「ぐッッ ウオオオオ───ッ!!!」
隣の部屋へと勢いよく擦るように転がれば、勢いで立ち上がり
床を再び踏み壊せば、ジョジョへと近づき。

[メイン2] ディオ : 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ───ッ!!!」

[メイン2] ジョジョ : そのままディオを誘導してッ

[メイン2] ジョジョ : 「うおおおおおッ!!!」

[メイン2] ジョジョ : 受け流して、そこにあった機械に叩き込むッ!

[メイン2] ジョジョ : ディオがその投入口に叩き込まれた機械はッ!

[メイン2] ジョジョ : 同じく『具現化された世界』にあったはずのものッ!
『SCP-914』『ぜんまい仕掛け』ッ!

[メイン2] ディオ : 「ぬぐぅぅぅッッッ!!!」
力ずくで『脱出』───SCPの概念を取り入れていたからか、あるいは……精神力か

[メイン2] ジョジョ : 「くそッ!これでもダメなのかッ!」

[メイン2] ジョジョ : 再び走り出して、外の近くにまるで投げられたかのように落ちているナイフを拾ってさらに駆け抜ける

[メイン2] ディオ : 「『JOJO』 やはり貴様でなければ俺をここまで追い詰める事はできんッ!!」

[メイン2] ジョジョ : 「もっと……もっと……ッ!」

[メイン2] ジョジョ : 崩壊する施設の中ッ!
ジョジョの視界の端に、音を立ててこぼれ落ちるものがッ!

[メイン2] ジョジョ : 「……『赤石』ッ!?」

[メイン2] ディオ : 「『人』としては……やはり長引いた命だな
 これが他なら、一瞬の灯火だった」

[メイン2] ディオ : 「楽しめたぞ 『JOJO』……!」

[メイン2] ジョジョ : 咄嗟ッ!
ローリングでそれを拾い上げてッ!!

[メイン2] ジョジョ : 「うおおおおおおーーーーーz________ッ!!!!」

[メイン2] ディオ : 「!! それは───ッ!!!」

[メイン2] ディオ : 「『エイジャの赤石』!!!」

[メイン2] ジョジョ : 理屈はなかったッ!!ただ確信だけがあったッ!!

[メイン2] ジョジョ :
 スカーレットオーバードライブ
「緋色の波紋疾走!!」

[メイン2] ジョジョ : 瞬間ッ!エイジャの赤石からは熱線が大きく放たれッ!!

[メイン2] ディオ : 「ぐおばァッ───!!!」
その熱線がディオを、確かに覆うように放たれたッ!!!

[メイン2] ジョジョ : 建物が『波紋の炎』で包まれゆくッ!!

[メイン2] ジョジョ : 建物を巻き込んで燃え続ける『太陽』の炎ッ!!

[メイン2] ジョジョ : 「あの時と……一緒だね」

[メイン2]   :  

[メイン2]   :  

[メイン2]   : 「ああ」

[メイン2] ディオ :
 ・・・・
「そのようだ」

[メイン2] ディオ : ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

  ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

[メイン2] ジョジョ : 炎により倒壊しゆく建物ッ!
対峙する『ジョジョ』と『ディオ』ッ!

[メイン2] ジョジョ : 今この瞬間、ここは『19世紀のイギリス』に戻っていたッ!

[メイン2] ジョジョ : 階段を駆け登り続け、いつの間にか『星』の見える屋上ッ!
下は既に赤く染まっているッ!

[メイン2] ディオ : 「URYYYYY…………」
目を細め、『JOJO』のみを見据える。

[メイン2] ジョジョ : 「うおおおッ!!!」

[メイン2] ジョジョ : 二つの拳を合わせて突き出すッ!

[メイン2] ディオ : 「……URYYYYYYYYYYYYYYYYYッ────!!!!!!」
言葉はいらない。
互いに、必要なのは雄叫びと、圧倒的パワーのみッ!!!

[メイン2] ジョジョ : お互いのパワーがぶつかり合いッ!
床が砕けるッ!

[メイン2] デンジ :  

[メイン2] デンジ :  

[メイン2] デンジ :  

[メイン2] デンジ : 「あーマキマさん、良かったんですかァ?」
「あの2人勧誘しなくて。」

[メイン2] マキマ : 「いや、良いかな。公安としても…欲しい人材であるけど」

[メイン2] デンジ : 「そっすかあ………まぁ、アキの分も頑張りますよ。」

[メイン2] マキマ : 「アキ君の件は…本当に残念だったね。」

[メイン2] デンジ : 「…………でもアイツの分まで、頑張んねえと」
「じゃないと、パワーも守れねぇ」

[メイン2] マキマ : 「うん。そうだね…」
「じゃあ、行こうか。」

[メイン2] デンジ : 「りょーかいです!マキマさん!」

[メイン2] マキマ :  

[メイン2] マキマ :  

[メイン2] マキマ :  

[メイン2] マキマ : 当初の目的の…仮面と赤石は手に入らなかったけど…

[メイン2] マキマ : まぁ…必要ないかな。

[メイン2] マキマ : うん。

[メイン2] マキマ : 私の計画はもう直ぐで、完成するのだから。

[メイン2] マキマ : 楽しみだね。デンジ君

[メイン2] マキマ :  

[メイン2] マキマ :  

[メイン2] マキマ :